こんにちは、リュウです。
さて、今日はニーズに把握についてのお話です。
僕は普段、就労継続支援B型事業所とNPO法人の運営をしています。
この分野のお仕事をして10年といったところですが、僕らの分野で大事なのは今回のタイトルにもある「ニーズ把握」ですね。
普段仕事をしているとこんなお話をされます。
どこの事業所も悩むのが「作業」と「訓練」の内容。
「作業」や「訓練」は事業所が提供する支援であり、僕らが提供すべき大事なサービスの1つです。
ただ、利用者に対しての支援・サービスなのであればそれらは利用者のニーズに合ったものを提供していく必要がありますよね。
ニーズ把握と言うと本人の生き方、生活の仕方なんてことが取り上げられますが、僕らの提供している支援・サービスはそれらを形作っていく一つの要素となるわけですから。
ということで今回は僕らが支援を行う上で必要な「ニーズ把握」と提供しているサービスとを対比させてみていきましょう。
ニーズは時代とともに変化する
人のニーズというのは変化していきます。
それは色々な要因によって変化します。
福祉の理論の中には「人」と「環境」の相互作用によって色々なことが起こり得るとしているものもありますが、ニーズの変化についても同じようなことが言えます。
僕らは年を取りますし、それによって家族関係も変化します。
また、生きている時代違えば価値観も違うし、それによって思考の仕方も違います。
色々なことに僕らは影響を受けて生きているのでこれらと同様にニーズも変化していくのは当たり前なのです。
世代によってニーズは違うであろうし、個々人でも違って当たり前です。
僕らは利用者のニーズを勘違いしてはいけない
障害福祉サービスを提供している人たちは利用者のニーズというのを考える機会にぶち当たります。
そんな時に彼ら(利用者)のニーズはなんだと考えるでしょうか?
人によっては「自分たちの事業所に通所して1日を過ごすこと」が彼らのニーズであると話す人もいます。
ただ、果たしてそうでしょうか。
彼らは「他者との関わりを求めたり働く場を求めて」事業所に通所してきていることと思います。
つまりは僕らの事業所への通所はあくまでも「ニーズを埋めるため」に通所しているということです。
当然、彼らには仲のよい他の利用者やスタッフもいるでしょう。
ただ、別に「事業所」でなければいけないということはないですよね。
僕らはあくまでも補完的な機能にしか過ぎない
ここまでの話だけをみるとわかりにくい人もいるでしょう。
つまりは何が言いたいかと言うならば、彼らは別に「僕らのサービスを使うこと」がニーズではなく、「社会でニーズを埋められるものが提供できていないからそれを補う事業所に行こう」という方向性で通所を始めたということを忘れてはいけないと言うことです。
僕らの事業所は国が定めて行っている事業です。
つまりは民間では提供されない状況であるが故に国が法的に位置づけて提供しているという。
別に民間が提供していれば僕らの事業所にわざわざ来るかと言えばそうではない人もいるわけです。
彼らのニーズはあくまでも「事業所」を使うことではありません。
僕らのような事業所はなければ無いほうが良いのです。
事業所という特別枠で設ける必要が無いような社会構造であればいいだけの話。
別に「事業所」はいらないと言う話ではありません、「事業所」への通所というのはあくまでもニーズ充足のための手段であってニーズそのものではないというお話です。
サービスで必要なのはニーズの充足
さて、お話を戻しましょう。
僕たちのような障害福祉サービスを提供している事業所への通所はニーズ充足のためと書きました。
それでは僕らのすべきことはなにか。
当然先にも書いたように「ニーズ把握→必要な支援」ですよね。
つまり冒頭でのお悩みのように「作業」や「訓練」をどうしようというお話。
コレについては既に答えが出ていることですよね。
ニーズは本人たちに聞け
ニーズがあるから利用者は事業所に通所してきています。
ということは、彼らはそれなりに「どうしたい」ということを持っているかと思います。
それを聞けば「どんな作業がいいか」や「どんな訓練をしたら良いか」というのはわかるわけです。
ニーズは誰の持っているものでしょう?
本人ですよね?なら、本人に聞けば良い。
僕たち人間は他の人の事を思ったり考えたりはできますが、相手の考えていることをそのまま知ることはできません。
わからないなら相手に聞くだけ。そして繰り返し聞いてすり合わせを行って確認していくしかないのです。
ニーズに合ったサービスを提供
ニーズを把握したら、後はどんな種類の作業や訓練があるかを提示すればいいだけです。
それを本人が選ぶとそれで作業や訓練内容は決まりますよね。
スタッフはそれらを充足できるような作業を探したり、訓練プログラムを組めばいい。
実にかんたんに決まっていくものです。
時には提案も必要
うちの事業所では本人に色々と決めてもらいます。
今後どんな方向に進みたいか、そのためにどんなことが必要化などを照らし合わせていきます。
当然前向きに話す人もいれば、後ろ向きな人もいます。
そんなときには色々な提案をするようにしています。
どんな作業が考えられるか、どんな体制でできそうか、どんな訓練内容を考えつくか、それらをやればどんなことが起こりえるかのイメージを持ってもらうための話です。
そんな話を繰り返しすることで、本人が「しっくりくる」というものをまずは一つ選んでもらってやってみてもらうこともあります。
誰もがニーズを明確に持っているわけではないですし、経験が足りないことでイメージがつきにくいという人もいますからね。
ニーズは本人のもの
あくまでもサービス提供にはニーズ重視で行うことをここまで書きました。
が、記事内でも書いたようにニーズは変化するわけです。
当然利用者の年齢層も変化すればスタッフが対応できないことだってあります。
では、どうするか。
対応するしか無いわけですね。
だってそれが僕らの任務なのですから。
しかしながら、ニーズに対応することは必要ではありますが、それは必ずしも僕らができないといけないことではありません。
例えば「プログラミングを学んで将来はエンジニアになりたい」なんてニーズが合った場合。
福祉の現場でプログラミングをできるスタッフなんてそんなに多くはないでしょう。
ではどうするか。必要なところに繋げば良いわけです。
例えば以下のような方法が選択肢としてあります。
- スタッフがプログラミングを一緒に勉強して訓練していく
- 外部から講師を招いて教えてもらう
- プログラミングを導入している事業所を紹介する
- まずはeラーニングを利用して勉強してみてもらう
かんたんに考えてもこのくらいの選択肢はあります。
この中から本人が何を選択するか、スタッフが提供することが出来るかどうかなどを話し合って決めれば良いわけです。
今回はプログラミングを例に上げましたが、他の事でも基本は同じ感じで話を進めればいいです。
スタッフも選ぶ自由はある
ちなみに先に上げた例の中でスタッフがプログラミングを勉強するという項目がありましたが、コレに関してはスタッフだって選ぶ権利はあります。
利用者が選ぶ権利があるのと同様に、スタッフだって同じ人間です。
いくら仕事とは言えやりたくないことはやりたくないと言う自由はあるはずです。
なのであくまでも本人とスタッフの話し合いで決めれば良いこと。
ちなみにどちらかが無理して始めても途中で頓挫します。
時間の無駄なのでやめておいたほうがいいです。
まあ、やってみて途中から方針を考えるというのも良いかもしれません。
これもまた利用者とスタッフとの話し合いが大事。
ニーズとともに事業所は変化していく
今回も長くなってきたのでここで一度終わっておきます。
ニーズについて書くとどうしても長くなるものですね。
この記事では「ニーズは変化して当たり前」、「そもそも彼らのニーズは事業所への通所ではない」、「サービスに必要なのは本人のニーズ」、「ニーズの充足には本人と話し合おう」という内容で書いてきました。
記事のタイトルや内容でも取り上げましたがニーズというのは変化して当たり前なんですね。
そしてそれらは時代を始めとした色々な要因で変化していきます。
当初は障がいのある人達の日中活動の場としてできた事業所でも、通所してきている人たちのニーズが変化すれば作業をガシガシこなしていくような事業所にだって変わっていくことだってあります。
それは本人たちのニーズを反映させれば当たり前の話です。
なので作業だっていつまでも続けるものもあれば、途中で消えていくものだってあるのも当たり前です。
よく「障がいのある人は環境変化に弱い」なんて話を聞きますが、僕は「事業所やそこのスタッフもな」と思うことがあります。
以前書いた記事のを読んでもらえればいいかと思いますが、僕らは常に動き続ける「強制横スクロールステージ」の中で生きています。
変化が無いなんてありえない話。
少なくとも僕らは人なのですから年は取りますしね。
必要となるのは変化に適応すること、そしてそのためには少しでも早く変化を見つけ少しずつ動き始めることが必要です。
今回の記事はなにか収まりの悪いものとなりましたので後日また再編したいと思います。
それでは、また。