福祉事業で収益を上げるというと少し嫌な顔をされることがあります。
「福祉=非営利」というイメージがどうしても強いようで収益という言葉を口にすると「また金の話か」などと言われることも少なくありません。
しかし、何にでも元手が必要なもので僕からするとそこを蔑ろにする方が疑問。要はお金の使い方だと思うのですが…。
さて、今回の記事は以下のようなことで困っている人に向けて書かれています。
事業所運営をしているけれども収益が上がらなくて困っている。もう少し収益が上がれば新しい職員も雇用できて色々とできるサービスの幅も広がるんだけど…。何か改善していきたいけれども何から手をつければいいのかわからないので初心者でもわかる情報が欲しい。
ちなみに記事を読んでいただく前に結果からお伝えしておきますね。
明確な意識を持って支援を行い、明確な目標を持って支援を受けてもらうこと
これが全てです。
そしてそのための必要なステップは3つ。
- 基礎を整える。
- 加算の取得や人員の増加等を行なう。
- 1人ひとりの能力を向上させていく。
これだけみるとよくわからないかもしれませんが、記事を読んだ後にはこのステップは色々な要素を含んでいることをわかるようになっていると思います。
以下から詳細について書いていきます。
事業としての基礎を整えよう
ステップ1は事業として基礎を整えていきます。
基礎といっても色々あります。一番身近な基礎は利用者とスタッフです。
サービスといえば使う側の利用者と提供側のスタッフの存在は事業をしていく上で欠かせない基礎です。この両者の意識が事業運営では非常に大切です。
サービスは「提供するだけ・受けるだけ」のものという意識からサービスは「育てていく」ものという意識へ転換
サービスというと「受けるもの・提供するもの」というイメージが非常に強いです。よくお客様は神様なんていう言葉を聞きますが、僕の考えではこれは少し違うように思います。
あくまでもサービスを提供する人と受けたい人が存在するからサービスを展開できるのです。この観点が抜けていては発展はありえません。
利用者が来てくれるからサービスを提供できるだけの環境を整えられるのであり、提供してくれるスタッフがいるから利用者はサービスを受けられるのです。
利用者もスタッフもただ通ってきているのではなく、事業を育てていく人たちなのです。
この事をきちんと理解出来ていないと事業の発展はありえないですし、良いサービスを受けることができないのです。
消えるも残るも利用者とスタッフ次第
利用者はサービスを受けるという受け身の姿勢がメインになりがちですがそれは間違い。自分が来ないと収益は入らないのだと理解する必要があります。
また、スタッフは利用者の支援をきちんとしていなければ事業は利用者から選ばれず消えるのみの存在であることを理解する必要があります。
あくまでも自分が関わっている事業所はサービスを提供して対価を得ているのだという事を互いに実感してもらうことが必要です。
僕自身、経営はしていますが必要なくなれば僕達の事業所なんて無くなって構わないと思っています。必要か否かは利用者とスタッフが決めればいいと思っていますし、このことは利用者にもスタッフにも伝えています。
研修等で自分はサービスをこれからも使いたいけれどもサボりたい時に好き勝手に休むといった利用者の話や、今日は気分的にやりたくないからとサービス提供時に手を抜いているスタッフを見たとの話を聞くことがこれまでありましたが、これは事業消滅への第一歩です。
体調不良で休むのはしょうがないとは思いますが、気分なんかで利用者もスタッフもブレていてはその後は衰退のみです。自分1人くらい良いだろうという意識は全体に反映されていくので。
自分の意向も見直す良い機会となる
サービスについて考えてもらうと同時に利用者とスタッフには自分の意向と今のサービス種別があっているのかどうかを考えてもらう機会も大切です。
自分が受けたいサービス種別、もしくは提供したいと思っているサービス種別は今の事業所であっているのかどうかを自分自身で見直してもらう良い機会になるでしょう。
意向と合わないサービスだと、どうしても利用したり提供したりする際にネガティブな意識に偏っていきます。
もっと自分に合ったサービス種別があるのではないかという事を振り返ってもらう事で同じ目標に向かって取り組むことができるようになりますし、サービス種別としてあっていない人は自分に合ったサービスに結びついていける良い機会になるでしょう。
加算活用や人員増でサービス向上を図る
同じ目標を意識づけていければそれにより収益増が見込めるようになってきます。それに合わせて環境の整備も行っていきましょう。
収益の増加が見込めるようになれば、例えば必要な車両を増やすこともできますし、人員を増やすことでより利用者は安全で安心できる環境で作業が行えるようになるでしょう。
また加算であれば目標工賃達成指導員の配置や福祉専門職の配置などでより高度な支援を行える環境を整えることができるでしょう。
時折加算の取り方がわからないと言った声や事務作業が増えるので加算は取らないといった声もありますが可能なものは全て取った方がサービス提供の仕方に幅を持たせられるので良いです。
※加算に関しては長くなってしまうので別の記事で取り上げます。
1人ひとりの能力を上げる
ここまで来れば後はやることは1人ひとりの成長に向けた支援です。
例えば利用者は通所日数を増やしていきます。
当然、就労訓練ですので将来的に一般就労をしていくのであれば出勤日数の増加や稼働時間を増やすことは自然と訓練内容として必要となってくるでしょう。
また、施設外での就労を行うことは彼らの経験値を増やす良い機会になりますし、うまくやれれば自信にもつながっていきます。
また、現行の制度上は施設外で就労している人の枠分、新たな通所者を受けれ入れても良いことになっているので今まで通所して来れなかった新たな利用者にも利用してもらうことができるようになります。
いずれも結果として収益につながるものです。
この段階になると利用者へのサービスの質はあきらかに変わっているでしょうし、収益面でも変化が見られていることでしょう。
必要なのは良質な支援と意識・目標
記事のタイトルをみると少し嫌な印象を受けた人もいたかもしれませんが、実際に記事を見てみていかがでしたか。
要は障害福祉サービスの事業所ですので、当然サービスの質の向上が収益にも関係してくるのは当然といえば当然でしょう。
僕自身は「収益、収益」と人前で話すことが多いですが、あくまでもあがった収益は大部分を利用者の使いやすい環境整備のためや、スタッフが働きやすい環境の整備に使っています。
ちなみに僕達の事業所ではどう言った名目でどの程度のお金が入ってきているかは利用者に説明しています。また、そのお金の使い道も教えています。
ある意味利用者が納得してくれるお金の使い方をしてそれを目で見てわかったり説明をすることで納得できたりするからこそ利用者も協力してくれているような気もします。
この記事に書かれていることを全てやろうとしても最初は難しいと思いますが、少しでも変化を求めて動き始めることが大切です。
記事を読み終わったら、行動する事を忘れずに。
それでは、また。