こんにちは、リュウです。
今日は事業所を運営していく上での方針の記事です。
さて、皆さんの事業所はどんな方針を持って運営されているでしょう?
日中活動の場ですか?それとも一般就労に向けた準備でしょうか?
これまで僕は精神科病院、地域活動支援センター、相談支援事業所にグループホームなど色々なサービス形態で働いてきました。
それに伴い色々な事業所と関わりをもたせてもらってきました。
そんな中で感じたのは方針の有無や明確化具合がどのように事業所の運営に関わっているかです。
今回はそのことについて書いていきたいと思います。
福祉サービス事業所も方針が大事
色々な事業所との関わりを持って感じたのは方針の重要性とそれによって運営がどのような影響を受けるかということ。
そして方針に関しては
1,方針を持ち明確にすること
2,それをきちんと説明すること
これらが重要で、運営に関して言えば
1,その方針に忠実であること
2,障害福祉サービスの事業所としての原理原則を守ること
これらが事業所の発展や安定、サービスの質の維持につながるということを学びました。
一般企業では
ここで少し一般企業のお話です。
一般の企業では社訓や、計画などに基づいた具体的な方針が掲げられます。
最近ではどうなのかはわかりませんが、会社によってはそれを朝のミーティングで毎日確認しているところさえあります。
社員はそれを守って働いたり、方針の実現のために必要な活動をしていきますね。
社訓や方針が全てではありませんが、そういったことを会社から求められることはあります。
福祉事業所においては
一般企業ではそうであるのに対し、福祉サービス事業所においての方針は少し浅い考えです。
というのも、福祉事業自体が人への支援ということが主な業務内容であるため、社会的なミッションをそもそも持ち合わせた事業です。
そのため、自分たちの方針というよりも社会的なミッションのために業務をするという捉え方をされるわけです。
なので、事業所を訪問した際に「あなたの事業所の方針はなんですか?」と聞くと、一様に「障がい者の支援」という答えが返って来ます。
これは社会的なミッションであり、自分たちの事業所のミッションではないのです。
事業所としては漠然とした方針ですよね?
そして、そんな社会的なミッションは何処の事業所でも取り組んでいることです。
これでは事業所の良さなんてものはない。どこの事業所を選んでも同じです。
そしてそうなると事業所ごとの特色はなくなり、スタッフの愛想の良さや事業所のユルさなどで選ばれます。
事業所の特色で選ばれたのではなく、スタッフの良さだけです。
なのでスタッフがやめればその人達もやめる可能性が出てくるし、事業所の運営が厳しくなればユルさを求めた人は去ります。
すべての事業所が方針が無いというのではありませんが、そういった事業所が僕が訪問した事業所には多かったということは付け加えておきますね。
方針については軽視すべきではない
「君のところ方針なんて話を毎朝しているの?」なんて声が聞かれたりします。
方針という話をすると人によっては半笑い、苦笑いする人もいます。
それだけ方針を軽視する人もいるんですね。
ただ、方針はそこで働くスタッフや地域、広くなれば社会のためにあります。
多くの方針は社会に認められる内容で作られています。
そりゃあ反社会的な方針を打ち出して運営していては地域が黙っていないでしょうし、行政だって認めませんからね。
ということは方針に基づいて行動すれば社会的に適合しやすくなるということ。
「方針で〇〇だから、□□した」という理由が立つわけです。
方針に基づいての判断であれば、少なくとも大きなトラブルになるということも大幅に減るんですよね。
スタッフは方針によって守られることだってあるのはこのためです。
方針は会社のためだけでなく、観察的には社員や地域、社会のためにもなります。
事業所としての方針を持とう
ここまで書いてきたように、方針は大事です。
そして方針は事業所ごとに必要です。
同じ会社でも事業所ごとに方針を持つというのはその事業所の特性をわかってもらいやすくなりますし、それが事業所の特色にもなりますからね。
もし「方針はあるよ?」という人は自分たちの事業所の方針を一度見直してみましょう。
先に書いたように「障がい者への支援」だなんて当たり前の話をしていませんかね。
そんなの事業所として障がい福祉サービスの提供は当たり前のことですよね?
方針として立てるべきなのはもう少し掘り進めたところ。
例えば
・日中活動の場を提供して家の外へと出てもらえることに注力する
・一般就労と同じ環境で働くための準備を行えるようにする
なんてかんたんな言葉で良いので、数ある支援のうちで自分たちが取り組もうとしていることを方針にしましょう。
かんたんに言えば「支援する」ではなく「どんな支援を目指す」や「どんな生活をめざす」なんてことです。
具体的に言葉にすることで自分たちがすべきことも明確になりますからね。
方針を明言することで立ち位置がはっきりする
方針を具体化し明言することで自分たちの立ち位置がはっきりとしますね。
たとえば先程の具体例。
日中活動の場を提供するのであれば、日中活動ですることを準備したりそのための支援方法を考えれば良いわけです。
一般就労と同じ環境で訓練していくのであれば、同じ環境とは何かを更に明確にし、それに合わせた環境を作り出していけば良いわけです。
どんなふうに事業所を運営していいかわからないという事業所や、支援が右往左往するのはここがきちんとされていないから。
自分たちは「何のために」「何が必要で」「何をすべきなのか」が見えなければ判断も行動もできませんよね。
方針って本当に大事なんです。
方針を説明しよう
設定した方針は決して事業所のためだけにあるわけではありません。
そこに通所する利用者のためにもあります。
「うちの事業所はコレを目指しています」や「そのための支援をするよ」ということを明言しているわけです。
つまり利用者はそのことを知らなければ事業所に通所しても「なんかちがう」と感じるようになっていきます。
そういったことが無いようにきちんと事前説明が必要です。
「うちの事業所はこんなことを方針としています」「なので支援の仕方はこんなカンジです」というように。
それを聞いて自分の意向と合うようなら利用者は本利用するでしょう。
合わなければ他の事業所に行くだけ。
他の事業所にって…断るのはだめでしょ?
制度の性質上、利用希望者を正当な理由がなく断ることはできないというのはそのとおりです。
そもそも福祉サービスとはいえ、事業所利用は本人の希望が前提ですしね。
ただ、福祉事業において必要なのは訓練をする場や日中活動の場の提供の話であってその方法は事業所ごとに違っていい。
もちろん、法制度上問題のない話で公序良俗に反しないことは前提ですが。
そして事業所は利用者が受けたいようなサービスを提供することが大事。
ということは方針があって、事業所ごとに支援の方法に違いがあって、利用希望者にとっては自分に合うものを選べることが大事。
僕らがすべきなのは本人が受けたいような支援を作り出していくことであり、「ただめんどうを見ればいいんでしょ?」なんてのはすべきではない。
なので方針を立て、事業所独自の支援方法を作って提供していくことは大事なんですよね。
もし利用を考えている人と「方針が同意できない」や「支援方法が違う」というのがあっても変える必要はないです。
自分たちはそれが大事だと思えばやればいいし、それが大半に受け入れられないのであれば自分の事業所が潰れるだけです。
方針を曲げてまで利用者を受け入れるのはやめよう
たまにありますが、「利用者の希望だから」という理由で方針をかんたんに曲げてしまう事業所はあります。
が、それは大きな過ちです。
多数が言う意見であれば方針としての見直しが必要でしょうが、1人ひとりに全くもって合致するサービスなんてありえません。
方針が曲がれば、方針を信じて利用をしている人たちにとっては「なぜ?」という疑問が生まれます。
それがいきすぎれば不満、不信感になることも。
あくまでも方針に立ち返って自分たちにとって提供できることなのかどうかをよく考えましょう。
もし、それが無理なら他のサービスにつなげるなどすることも大事。
また、利用前にきちんと説明していて理解してもらっていれば、その時のことを思い出してもらって本人と相談することも可能です。
説明の際に語弊が合ったようであれば訂正もしましょう。
何をしてもだめな時は今後の通所について本人に選んでもらえばいいでしょう。
事業所を使ってみて、やっぱり思っていたのとは少し違うなんてことはあります。
対人であればどんなに努力しても認識の差をまったくなくすることなんてできませんので。
ただ、事前の方針説明、理解、利用と進んだ場合には大抵はきちんと話せば丸くおさまること、別のサービスを併用することで本人が納得できることがとても多いです。
本人も「そう言えばそんなことも言っていたしね」といって建設的な話し合いがほとんどですからね。
方針を曲げないというのも大事ですが、そのためのきちんとした説明は本当に大切。
方針に基づく運営へ
方針、方針とうるさいほど書いてきました。
ではその次、運営について。
ただ、今回の運営については方針との関係でのお話です。
運営についての違うお話は他の記事を参考にしていただければと思います。
方針に忠実に基づいて運営
方針について色々と書いてきましたが、ここからはこの方針に忠実に基づいて運営していくことになります。
忠実にとはいうと少し難しくカンジますよね。
ただ、これは何に関しても方針を適応させるということだと捉えてもらえれば良いです。
例えば前の記事で取り上げた作業受注の際に自分たちの事業所の方針にあった作業であるかや、作業受注にあたって方針に基づいた作業工程等の契約内容に手を加えることができるかどうかなどがあげられます。
また、1人ひとりの処遇に関しても同じように方針に基づいて考える。
何を考えるときにも方針を当てはめて考える癖をつけましょう。
方針は必ずしも適応できるような形ではないでしょう。
そんな時は方針を少し形を変えて適応するのです。
先に書いた方針例の中で、「一般就労と同じ環境で…」などといった方針の場合は、一般企業であればどのような判断をするかや、どのような基準が必要かなどと言ったことが必要になりますよね。
それを考える時に適応させていくこともできるでしょう。
つまりは形を変えども、常に方針という柱を中心に据えて物を考え、それをベースとして行動すること。
それが方針に忠実な運営ということです。
障害福祉サービスとしての原理原則
方針に忠実な運営をするとともに大事なのが障害福祉サービスの原理原則です。
障害福祉サービスを提供するということはそのルールに従ってサービスを提供することが大事ですね。
ルール違反は結局不利益でしかありません。
一時の利益を得るためにこれまでの信用や利益を一瞬で吹き飛ばすこともありえるし、ひどいときには将来をも吹き飛ばします。
原理原則を守るのはとても大事です。
小手先の不正をしてこれまでとこれからの利益を飛ばしてしまうほど愚かなことは無いです。
自分たちの方針を立てて、あとは原理原則に厳密に従う。
これだけで支援はうまくいくようになるし、利用者は集まるし、必要な利益も上がります。
実際うちの事業所はそれだけで利用者は約2倍、作業が約7倍、利益に関しては1.5倍近くまで増えました。
利用者も継続して通所してくれるようになり、事業所を辞める人も半分近くまで減りました。
方針、そして原理原則を守るだけでだいぶ変わります。
事業所運営には方針を‼
ということで、今回は事業所運営と方針について書きました。
事業所の運営において方針はとても大事なものです。
記事内でも書いたように方針は事業所の向かう先とそのための行動の指針になるものだからですね。
どうしても現場では忙しく働いていると方針を見失いがちです。
でも、方針は利用者にもスタッフにも、そして地域のためには重要なものです。
時折確認しながら運営や支援に方針を行き渡らせて行きましょう。