こんにちは、今日も事業運営についての記事です。
福祉も他の業種と同じように、サービスを提供していても人に使ってもらわなければ意味がありません。
安定した運営をしていく上でサービスを使ってもらうのは必要不可欠です。
※これについては別の記事でも取り上げているので、まだ読んでいないという方はそちらもどうぞ。
こんにちは、リュウです。 今日は支援者から管理者や経営者になるときに必要なことについて書いていきます。 というのも、僕も福祉業界に入り10年以上が経ち最近では管理や経営についての相談を受けることが多くなりました。 が、そも[…]
つまりは、通いたいと思える事業所であることが必要です。
さて、どんな事業所であれば通いたいと思われる事業所となれるのか、そして選んでもらえるのか。
今日はそのことについて書いていきたいと思います。
選ばれる事業所になるには
結論から言えば、「利用する人について知る」ことです。当たり前のことですね。
ただ、当たり前のことなんですが、単なる「障がい者」という考えで止まってしまっている事業所が非常に多い。
単に身体、知的、精神、発達や難病などそういった障がい種別に関して考えるということにとどまりません。
どんなことを思い、どんなことに興味を持つのか等も含めて考える必要があります。
こういった利用する人=顧客に関する分析はマーケティング分野では当たり前のことですが、障害福祉サービスの提供元はそういったところまで分析して考えている事業所はどの程度あるでしょう。
僕の周りには少なくともそこまで分析しているような事業所はありませんね。
利用者について知るということ
利用する人について知るのは、前記したように障がい種別についての考えるといったところで終わらないと書きました。
利用する人も僕たちと同じ人間。
そしてその人たちのニーズは少しずつ変化しています。
今回はそのうちでも知っておくべきこと、彼らについて考える時に必要な要素について取り上げます。参考にしてください。
年齢や生まれ育った時代背景について
年齢や時代は個人に大きな影響を与えます。
もし、年配者が多くいる事業所であれば当然古くからの慣習を重んじる事業所になるでしょうし、逆に今どきの人が多い事業所であれば最新の情報やツールを用いることに長けているような事業所となりえます。
今ですと多くの人がスマホを使うような時代になっており、できればスマホやパソコンの使える作業があればいいなぁなんて考える若い世代の人もいるでしょう。
スタッフも対象として考える
また、この年齢や時代について考える時には、利用しようとしている人にだけ分析するのではありません。
同時にスタッフの年齢層や育った時代について考えてみることも必要です。
前述のようなIT作業を求める人に自分たちはどのように対応できるかや、できない場合や今提供できるレベル以上のサービスを提供するにはどうすればいいかということについて考える上でも大事なことです。
作業への意欲や将来に対する考え方について
作業は就労支援、特にA型やB型では特に必要になります。
作業をしたい、日中活動のために少し作業できればいいと考えている等、1人ひとり作業に対する意欲・考え方は違います。
既に事業所を運営している場合には、通所している人たちの意欲についても把握しておく必要もあります。
同様に将来についてどのような考えを持っているかも重要です。今後のステップアップに対してどの程度の意欲をもって取り組めるかということにもつながります。
意欲や将来についての考えは事業所の運営については大事です。
多くの人が意欲が低ければできる作業の種類は限られますし、意欲が高い状況であれば進んで新しい作業に参加していってくれることも考えられます。
選ばれる事業所になるためだけの分析ではない
実は意欲等に関する分析は単純に選ばれるためのサービス作りに使うのではありません。
この分析は自分たちの事業所運営が今後安定していくかどうかに大きく関わる分析です。
昨今では事業所に支給される障害福祉サービス費は利用者1人当たりの平均工賃月額によって変わるような仕組みになっているため事業所の経済基盤に大きく関わることになるのです。
障がいや疾病をどのように本人がとらえているかについて
案外このことについては把握する事業所は少ないように思います。
障害福祉サービスを使うからといって本人の障がい受容が済んでいるわけではありません。
「自分の人生はこんなはずではなかった」や「自分は障がい者ではない」などと感じている人もいます。
また、「障がい者として扱ってほしくない」、「障がいを持つ前の生活と変わりなく生活していきたい」と考えている人も。
受容について事業所としては重視するのかどうかや、受容の有無でどのようなメリット・デメリットがあるのかは支援の方針に大きく変わるでしょう。
そして支援効果が高まるかどうかの大きな要因は、感情だったりもします。
障がい者として扱われたくないという気持ちがありながら、それを見過ごすと意欲低下や現場放棄、関係性の破綻にも大きく関わることになります。
相手は人間なので「気持ち」があり、それが大きな原動力となることは一番認識しておかなければいけないことであるといっても過言ではありません。
逆に「障がいだから…」という考えの人も
物事に関して説明するときに「障がいがあって…」や「具合が悪いから…」と説明する人もいます。
これ自体は悪いことではなく、実際に障がいや疾病があれば大変なことも多くあります。
ただ、そこで止まるかどうかという部分については把握しておきましょう。
向上していこうとする気が現段階であるかどうかは、どんなサービスを必要とするかについてうかがい知ることができます。
これ以外に聞いていくことについて
前述してきたこと以外にも聞けることは聞いておきましょう。1つでも多くの情報を得ることが今後自分たちの事業所が提供していくサービスの質が変わってくるからです。
社会性はあるのか、どういった部分に自分たちスタッフとは考え方・とらえ方に差があるのか、体調変化の波はどういった状況なのかなど色々あります。
1つひとつが僕たちにとってとても大事な情報なので聞き取りや分析には力を入れた方がイイです。
たまに「利用者と世間話をした」、「ムダに長い話をした」等という人を以前見たことがありますが、そういったとらえ方をしているうちはまだまだです。思考が浅い。
「こんな話をしていたんだけれども、これってこんなサービスがあれば良いかな」や「こんな背景があるのであれば、こうしてはいけないな」等という話につなげていくことが必要です。
分析の上で大事なこと
ここまで「利用する人について知ること」や分析について書いてきました。読んでいるといくつか気を付けていく必要があることにお気づきになられたましたか。ここでは注意点についても書いておきますね。
事業所をかたち作るのは利用する人たち
ここまでの説明の中にも一部連想される内容を書いてきましたが、事業所を作るのは利用者です。
事業所というよりは事業所の特色と言った方がいいでしょうか。
事業所に通う人たちの能力や意識・スタンスなどは1人ひとりが違い、人数が少ないうちは彼らの個性でしかありません。
ただ、それが集団化して事業所の大半を占めるようになると「うちの事業所はこんな人たちが多い」という事業所の特色へと変わっていきます。
僕たちはそういった意識を持っていないかもしれませんが、見学や体験を通して他者はそれを感じ取ります。それらが彼らの選択に影響してくるのです。
分析と憶測は違う
これも当たり前のことですが、憶測で現実を歪めてはいけません。
現在の状況を冷静に分析する必要があります。
自分は日中活動の場を目指していたが実際は一般就労を目指す人が多かったり、逆にステップアップをどんどんしていくことを目指していたはずが日中活動の場として生活したいと考えていたりと。
これは彼らが悪いのではなく、自分たちの分析が甘かったことを認識しなければいけません。
やっていいのは分析だけです。憶測ではなく、推測をしましょう。
注意:憶測と推測の違い
自分たちのスタンスを明確に持つ
自分たちの提供しているサービス、提供していきたいというサービスについて明確にしていく必要があります。
分析しつつも同時に自分たちスタッフ、事業所はどういったサービスを提供していくのかを問う必要があります。
事業所を運営する理由は人によって違います。
「障がい者のため」、「お金のため」、「将来に備え経験として」等と色々です。
しかしどのような理由があったとしても、提供するサービスの方針は必要です。
それが無ければ、どんな理由があったとしてもそれを達成することができないでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。利用する人について知ること。
これについて自分の事業所はどんなことができていて、どんなことができていないでしょうか。
一貫した支援サービス、事業所運営は利用する人たちにとってとても大切なことです。
選択する人は自分たちにとってどんなサービスをどのようなスタンスで提供しているのかで決めるのです。
そのため、僕たちは相手について知り、どのようなニーズをもって利用するかをよく考えなければ選ばれません。
僕たちにとってニーズ把握は支援にとって必要不可欠なものです。
にもかかわらず、支援以外でのニーズ把握は足りていないのです。支援で培ったニーズ把握を運営・経営にも活かしていきましょう。
それでは、また。