現役管理者の教える障害福祉サービスにおける常勤換算の方法

どうもこんにちは、リュウです。

今回は職員配置基準等で必要な計算「常勤換算」についてです。

事業所を運営しているとよく聞くのが常勤換算というキーワード。

ただ、計算をし算出するため苦手意識を持っている人も現場では少なくありません。

時折必要となる計算ではあるのですが、日常的に使うものでもないためなかなか身につかないのは当たり前ですよね。

そこで今回は常勤換算方法について解説するとともに、実際に常勤換算が必要となった際に記事を見ながら計算できるようにしておきたいと思い作成します。

 

実際に計算するとしても1年に数回程度ですので、暗記する必要はないです。

必要ならこの記事に戻ってきて、見ながら計算すればいい話ですよ。

 

常勤換算法って何?

障害福祉サービスを提供するには、決まった職種を決まった人数配置することが必要です。

これは

  • 福祉サービスの提供は大部分が人の手によって提供されるため
  • 必要な人数がいなければ支援が提供できないため

といった2つの理由から人員の配置基準を国が定めているからなんですね。

指定認可を受ける際にも必要ですが、認可を受けたあとにも必要なサービスを提供するための基準を満たし続ける必要があります。

 

常勤換算法が必要な理由

そんな大事な人員配置基準ではありますが、事業所によって規模は違いますね。

利用定員が違ったり、提供しているサービスの種類が違ったりと色々と違います。

そうした違いに対して、1つひとつ基準を定めると膨大な量になってしまいます。

そのため常勤換算法という計算法を準備してそれぞれの規模に合わせて計算できるようになっています。

 

サービスに必要な基準を満たし続けるために

人員配置基準を満たし続けるには適宜確認していく必要があります

特に必要なのが

  • 前年度の利用者数・利用日数に変化があった
  • スタッフ数が退職・休職・配置転換等で変化した

という2つの変化があった場合には注意が必要になります。

また、基準自体が変更になることはありますので、そうした改定にが起こり得る4月と10月を見据えて、毎年3月と9月頃には特に確認しておいたほうがいいですよ。

 

常勤換算法を学ぶ上で大事なポイント

常勤換算について学ぶ上で大事なポイントは

  1. 時間ベースで考える
  2. 「常勤」というのは事業所ごとに決まる

という2つになります。

常勤換算法についてネットで調べても解決しないことがあります。

実はこの2つの要因が影響していて、答えはすべて事業所しだいだからなんですよね。

 

配置基準は時間ベースで考えるのが基本

人員配置基準というだけあり、必要な人数について考えていくこととなります。

しかしながら、考え方としては「時間ベース」が原則です。

人数について考えるのに、時間ベース?

こんな疑問が生まれますよね。

 

なぜ、時間ベース?

時間ベースで考えられるのは、現状では「人」によるサービス提供が原則だからです。

利用者に提供されるサービスはスタッフによるもの。

そのためスタッフ数を多く配置しても、配置が短時間であればサービス提供には問題が出てしまうという考え方なのです。

サービス提供には時間が必要、だから人数よりも時間ベースで考えるということです。

 

↓詳細説明が欲しい人は下の(追加説明)ボックスの右「+」部分をクリックしてください↓

▼(追加説明1)配置を人数ベースとした場合に起こりえること
※時間ベースで考えると言ってもわかりにくい人もいると思いますので、追記です。

例えば9時から〜15時までサービスを提供し、利用者定員20名、スタッフ5名配置とします。

この状態で人数ベースで考えてしまえば、十分サービスを提供できるように見えます。

ですが、人数ベースで「1日5名スタッフを配置」としていた場合

このうち4名が「12時で帰りま〜す」となればどうでしょう?

残り3時間を1人のスタッフがサービス提供することになりますよね。(恐ろしいww)

 

▼(追加説明2)配置を時間ベースで考える方式の場合
上と同じ事例で、時間ベースで考えたとするとどうなるか。

時間ベースなので「1日あたり24時間分提供する」としましょう。

サービスの提供時間は9時〜15時までの6時間と考えると

1名で1日フルにサービス提供で6時間となるため…

  • 5名がこの時間をフルでいると30時間 → 達成
  • 4名が6時間対応すると24時間 → 達成かつ1名休んでもOK
  • 3名6時間フル対応(18時間)かつ2名で6時間提供 → 達成かつ2名短時間勤務OK

といったように時間ベースの場合は必要な人員が事業所に拘束される形になります

当然、送迎等がある事業所の場合はスタッフがいる時間を調整する必要もありますが、少なくとも先の例のような状況は避けやすくなります

 

時間基準は実情をベースとした考え方でもある

配置基準を時間基準で考えるのは、「人」が勤務する上では現実的な仕組みでもあります。

というのも、人数で配置となってしまえば必ずその職種はいなければなりません

同じ職種で複数人配置されていればいいですが、管理者等はそうはいきません。

毎日休まず出勤というのが前提となってしまい、労働基準上でも問題が出てきてしまいますよね。

時間ベースであればそうした問題も解決することができますので、現実的ですよね。

 

常勤の基準は事業所によって異なる

もう1つのポイントが、「常勤」の定義が事業所ごとになされるということです。

常勤換算法とあるように、「常勤」の定義がどうなるかというのは確認が必要ですよね。

ただ、常勤に関しては「1日〇〇時間働くこと」という明示はされていません

なぜなら、常勤というのは事業所ごとで定義が違うからです。

 

常勤という定義について確認する方法

常勤の定義はネットで調べるものではありません。

事業所などで働く人のうち、正規職員として働く人がベースとなるとされています。

そのため、「正規職員が働く時間」というのをベースとして定義されることとなります。

8時間勤務、7.5時間勤務など事業所ですこしずつ違うことがあるため、ネットで定義を探しても明示できないということです。

 

常勤の定義はどうすればいいのか

僕の場合はあまりに初心者でわからなすぎたので役所に確認しにいきました。

その際に教えてもらったのは「就業規則」などから確認するのがオススメだということ。

今考えてみれば「当たり前」と言えることも、わからないと案外ここがハードルだったりします。

逆にここさえ押さえれば、「就業規則で確認→計算」と進められますよ。

 

実際に計算する場合

実際の計算は案外かんたんなものです。

  1. 就業規則で常勤時間数を確認
  2. 人員配置基準を確認
  3. 現在の配置状況を上記2つで数値化して調整する

この流れでやっていけばかんたんに計算が終わることとなります。

 

1、就業規則で常勤時間数を確認

就業規則や契約書などで常勤職員が働くべき時間を確認します

通常は「〇〇:〇〇〜〇〇:〇〇」と記載されていると思います。

もしわからない場合は教えてもらうのもいいでしょう。

たいてい8時間程度の時間数になると思いますが、事業所ごとなので確認しておきましょう。

 

▼更に週・月単位でも算出

次に確認した1日あたりの勤務すべき時間数から週・月単位での常勤時間数を算出します。

例えば常勤職員が1日あたり8時間勤務するなら

月単位: 8時間 ✕ 月あたり勤務すべき日数

週単位: 8時間 ✕ 週あたり勤務すべき日数

というカンジに計算することができます。

 

2、人員配置基準にある職種ごとの時間数を整理

続いて人員配置基準を確認していきます。

配置基準はネット検索をかければ出てくるのでそちらを参考にしていけば良いです。

ちなみに当ブログの場合は「就労継続支援B型」について書かれたものなので、参考までに就労継続支援B型の配置基準を載せます

管理者:1名

サービス管理責任者:1名

生活支援員または職業指導員:1名以上

上の基準はあくまでも最低配置の基準なので、必要なものは別途確認が必要です。

例えばB型であれば目標工賃達成指導員の配置などについてのことですね。

 

▼時間ベースへ変換する

人員配置基準の確認をしたら、職種ごとに時間ベースへ変換します。

ここまで例をベースに試しに時間ベースに変換してみますと、

※常勤職員の時間数が8時間の場合

管理者:1名 → 8時間

サービス管理責任者:1名 → 8時間

生活支援員または職業指導員:1名以上 → 8時間以上

配置基準にはもっと要件はあるものの、今回は人員配置、特に時間数のみにスポットを当てているため考えないようにしています。

 

3、自分の事業所の配置状況を数値で出して比較

常勤時間数の確認、人員配置基準の確認を経て、最後は実際の配置状況を確認です。

ここまでの確認としては、

常勤時間数 8時間勤務の場合

8時間 ✕ 20日間(1月当たりの出勤日数) = 160時間

配置基準上必要とされる時間数

管理者:1名 → 8時間

サービス管理責任者:1名 → 8時間

生活支援員または職業指導員:1名以上 → 8時間以上

こうした基準に沿って配置されることが必要だということですよね。

 

自分たちの基準となる数値を出したらあとは現場の数値を出して計算するだけ

ここまでが今回の解説、「常勤換算」の方法についてでした。

ネットで調べてもなかなか具体的な計算が出てこないので、僕自身も最初は大変でした。

しかしながら、実際には自分たちの事業所で確認できることが多いのでやり方さえ分かれば案外かんたんです。

この記事を参考にどのように考えれば良いのかを適宜確認しつつ1つずつ計算してみてくださいね。

おまけ

おまけとして、このあとの流れについて書いておきますね。

ここまで計算して出した基準と実際の配置状況を確認していきますが、

配置されている職員・職種を確認

職種ごとに職員を整理

1人ひとりの勤務時間数を確認 → 職種ごとに合計算出

算出した合計と配置基準上必要な数値を比較

満たしていない場合は調整をする

こんな流れで進めていくこととなります。

 

ちなみに別記事では実際に計算してみていますので、詳しくは「計算できた?現役管理者と常勤換算の方法を事例で確認【就労B型】」を参考にしてください。

 

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