こんにちは、リュウです。
さて、今日は「工賃向上計画」のお話です。
この名前を聞いてピンときたあなたも、そうでない人もいると思います。
報酬改定について厚生労働省からの事務通知が出たので、今後は更に作成については気をつける必要があるため要確認。
ということで、記事にしておくので確認しておきましょう。
工賃向上計画について確認
工賃向上計画について知っている人は良いのですが、そうでない人のために確認。
僕らが運営している就労継続支援B型事業所では工賃を支払う必要があり、同時に支払う工賃額を高めていくことも求められています。
これはここ数年の事業所へ入ってくる障害福祉サービス費の単価が前年度の平均工賃月額によって階層分けされ始めたことからもわかりますね。
では、それをどのように実現していくのか。
実現のための具体的な計画、それが工賃向上計画です。
工賃向上計画作成に関する指針
さて、そんな工賃向上計画ではありますが、作成する前に大枠を知りましょう。
大枠を知るにはまずは根拠ですよね。
工賃向上計画は以下の指針によって確認することが出来ます。
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長 令和3年3月10日 一部改正
ちなみにこの文書を厚生労働省のサイトで探しましたが、残念ながら僕は見つけることが出来ませんでした。
そのため上記リンクは、以下の広島県サイトからリンクで見られるものです。
「「工賃向上計画」を推進するための基本的にな指針」の一部改正について
広島県サイトより
上記指針だけでなく、関係文書もいくつかあるため参考として最適だなと。
指針の内容をざっくりと確認
根拠となる指針を確認したので次はそのつくりを確認。
この文書のつくりは以下のとおりです。
- 「工賃向上計画」による取組の必要性
- 都道府県における取組
- 各事業所における取組
大きく分けるとこんなカンジです。
要は工賃向上計画がなぜ大事なのかを説明して、都道府県と各事業所が何をすべきか書いてあるというのがこの指針の内容です。
内容の大枠を知っておけばどこを読めばいいかわかりやすいですよね。
項目ごとの内容を確認
ここからは少しばかり文書の具体的内容を確認です。
かんたんに書いていきますね。
1,「工賃向上計画」による取組の必要性
平成23年度以前から工賃の向上には取り組んできたものの十分な成果が出てこなかったことを踏まえて、平成24年度以降も3年毎に計画を策定してきたといった内容。
また平成25年以降は「障害者優先調達推進法」の施行等を通して、行政でも継続して取り組んできたことが書かれています。
このような経過から令和3年度以降も同様に取り組み、より「目標達成に向けた具体的な取組を事業所関係者全体となって取組むこと」、「都道府県における工賃向上計画でも具体的な支援策を盛り込み事業所の支援・協働を目指すこと」が書かれています。
2,都道府県における取組
ここでは都道府県の行うべきことが具体的に書かれています。
特に以下のようなもの。
- 都道府県の「工賃向上計画」を作成すること
- 計画に基づいた事業所への支援および協働を行うこと
- 計画に関する報告、評価等を行うこと
簡単に書くとこんな内容ですね。
細かい内容は指針内に書かれていますね。
3,各事業所における取組
ここは各事業所の行うべきことが具体的に書かれています。
- 事業所の「工賃向上計画」を作成すること
- 計画に基づき実行すること
- 計画の報告、評価及び改善をはかること
都道府県が行う過程とほぼ同じで、要は行う規模や対象が違うということですね。
その他
この指針の中には「4,市町村における取組への協力依頼」という項目もあります。
要は工賃向上のための協力依頼を多分野の統括機関等へ働きかけるというもの。
こうした指針として文書で出ているのであればお願いもしやすいでしょうね。
工賃向上に向けた動きの中で困ったときにはこの項目を見直すと良いと思いますね。
工賃向上計画を作成する前に確認しておこう
ここまでは「工賃向上計画」を作成する上での根拠の確認をしました。
指針にあるように事業所では計画の策定は必要ということですよね。
これまでは特にお咎め無しということもあったようですが、今回は違う様子。
というのも、厚生労働省からの通知では今回の報酬改定では障害福祉サービス費の受給には計画の作成を条件として設定する予定であることが明記されています。
工賃向上計画の作成を要件とする予定
上であげた、広島県のサイトから見られる以下の文書。
この文書の1ページ目の終わりあたりで記載があります。
以前の記事でも書きましたが、今回の報酬改定では基本報酬の算定にあたっては2類型のうちどちらかを選ぶこととなっています。
そのうちこれまでのように「平均工賃月額」に基づく算定を行う場合(就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)(Ⅱ))には「工賃向上計画」の作成をしていることを要件とする予定であるとあります。
他の類型であっても作成の必要性はある
算定報酬上の要件としては定められていなくとも、「工賃向上計画」の作成は特別な事情がない限り作成は必要です。
そのため、たとえ新しい類型で障害福祉サービス費を算定する事業所であっても作成しなければいけません。
自分たちの事業所の算定類型を確認の上で対応しましょうね。
締切は5月末日まで
今回の報酬改定による計画作成では締日は令和3年5月末日までとのこと。
「平均工賃月額」に基づく報酬算定の場合、報酬請求日までに計画を準備する必要があります。
【注意‼】
事業所においては5月末までに工賃向上計画を策定する必要があります。
しかしながら「平均工賃月額」による算定をする場合は注意が必要。
この場合は4月に工賃向上計画を策定していない場合は算定できないとあります。
※「「工賃向上計画」を推進するための基本的な指針」の7ページ目に記載あり
4月の請求にあたっては都道府県への報告は上記期日までにする必要があるため忘れないようにしたいですね。
工賃向上計画の作成をしよう
指針や内容について確認してきました。
ここからは指針の内容を見ながら具体的な計画を作成していきましょう。
指針の7ページ目「各事業所における取組」の「基本的事項」以降の内容を参考にしていきます。
基本事項
この項目では計画作成のための基本的な事項を確認。
作成時期は令和3年5月末まで、対象期間は事業所の実情などを踏まえて設定するとあります。
また、作成にあたり具体的な取組として以下のようなことが想定されています。
- 事業所の現状分析
- 対象期間と目標とする工賃額の設定
- 年次計画の作成
- 取組の実施と達成状況の点検及び評価
これらを工賃向上のPDCAサイクルとして確立してほしいとのことです。
「工賃向上計画」の作成
ここの項目では以下のような内容が書かれています。
計画に盛り込む事項
作成にあたっての留意事項
この2つについても確認しておきましょうか。
計画に盛り込む事項
盛り込むべき事項は3つ。
- 令和5年度までの各年度の目標工賃(月額または時間額)
- 各年度に取り組む具体的方策
- その他の事項
このように複数年度の目標を立ててしまうこととなるため、少しばかり大変かなと。
上記事項を見てみても前述したPDCAサイクルは必要となってきますね。
まずは現状の把握からしていきましょう。
作成にあたっての留意事項
ここについては少しばかり長く記載されています。
各項目について簡単に見ていきます。
事業所の現状分析
管理者は目標達成に向けた取組の工程表等を作成して関係者からの理解を得る。その上で年次予算計画を作成、職員全体で検討。その際に、目標達成指導員は地元企業等との協働で積極的な工賃向上に向けた取組を進めることとしている。また、利用者に対してはアセスメントを通して作成された個別支援計画に基づき支援を行い、必要な知識・能力の向上を図るための就労意欲の向上、自立に向けた課題整理を実施することとしている。
目標工賃の設定において勘案する事項
令和3〜5年度までの目標工賃額については「令和2年度の平均工賃実績」、「地域の実情を踏まえ、障害年金と合算して、障害者が地域で自立した生活を実現できるため必要な収入」、「地域の最低賃金や一般雇用されている障害者の賃金」、「各都道府県の目標工賃」といった項目を勘案して設定することが望ましいとのこと。各年度における目標工賃も設定することとしている。
各年度に取り組む具体的方策
簡単に書くと「事業所全体で共通理解と意識改革を行う」、「コンサルタントや企業OBを積極的に受け入れ職場環境の改善、民間企業の経営感覚を身につける」、「他事業所との協働とネットワークを強める」、「施設外就労と一般就労への移行を強化」、「在宅就労支援等の多様な働き方への対応」、「地域企業等との連携検討」、「都道府県等が実施する研修への参加」、「市町村との連携強化で地域課題の把握と解消への取組を検討」があげられる。
「工賃向上計画」の報告
計画作成後は令和3年5月末日までに都道府県に提出。また事業所HPや広報誌等で公表。
「工賃向上計画」の達成状況及び評価
各年度において前年度の実績と比較し達成状況を点検・評価。結果に基づき計画の見直しなどの対策を実施することとしている。計画の見直しをした場合は各年度の5月末日までに各都道府県に提出することとしている。
ここまで書いた留意事項はあくまでもかんたんに書いたものなのでもっと詳細を見たい人は先に上げたリンクから確認してくださいね。
忘れずに「工賃向上計画」は作成しよう
ということで、今回はここまでです。
かんたんには書いてきたつもりですが、やはり長い記事になってしまいましたね。
ただ、留意事項を参考にすれば、計画は作りやすいように思います。
ぜひ、参考にして自分たちの事業所にあった計画を作成したいですね。
それでは、また。