【令和3年度】就労継続支援B型の報酬改定内容を確認

こんにちは、リュウです。

先日書いた令和3年度(2020年度)の障害福祉サービス費等報酬改定の詳細が発表になりましたね。

前回の記事では基本方針と大枠を確認しておりましたが、詳細発表を受けての内容を確認しておこうと思い今回の記事を書きます。

いつものように「Q&A」は後ほど発表になるとは思いますが、まずはここまでを確認しておきたいと思います。

令和3年度障害福祉サービス費等報酬改定について

さて、まずは今回の報酬改定について確認しておきたいのが厚生労働省の発表内容ですね。

ということで、今回もリンクを貼っておきます。

リンク→ 令和3年度障害福祉サービス費等報酬改定について

リンク先の「2021年2月5日」の「令和3年度障害福祉サービス費等報酬改定の概要」の並びにある、資料という部分をクリックすると今回の発表内容を確認しておきましょう。

ちなみに発表となった資料については一応のため下の各リンクからも見られるようにしておきます。

発表資料の見方

見方としては一番最初の資料「主な改定内容」に関してはスライドになっています。

スライドで決定した大方の内容を確認できます。

2つ目の「改定の概要」に関しては障害福祉サービス種別ごとに説明がされています。

こちらは種別ごとの説明がきちんとされています。

ちなみに就労系サービスを観る時は注意‼

就労系サービス共通の改定内容→それぞれ種別に関する改定の順番で書いています。

最後が「報酬算定構造」については実際の単価が書いています。

来年度の予算立てなどの際にはこちらが参考になります。

就労継続支援B型についての改定

さて、それでは本題、我らが就労継続支援B型に関する改定内容を見ていきましょう。

今回の改定に関しては色々と変わっているので要確認です。

ちなみに大きくわけると以下のようになります。

  1. 基本報酬の見直し
  2. 各種加算の見直し
  3. 基準及びその他

それぞれについて見ていきましょう。

基本報酬について

まずは以前から話題に上がっていた基本報酬についてです。

報酬改定では類型化されることとなりました。

つまりは報酬算定の体系を事業所ごとに選択するというもの。

以下の2つの類型が準備されました。

  1. 「平均工賃月額」に応じた報酬体系
  2. 「利用者の就労や生産活動等への参加等」で一律に評価する報酬体系 ←新設

事業所はこれら2つのうちのいずれかを選択し報酬算定を行っていきます。

ちなみに類型選択できるのは各年度の4月に行うこととなり年度途中の変更は不可。

類型化について

今回の改定における論議の中で取り上げられていたのが「多様な就労支援ニーズ」といった部分。

従来の平均工賃月額といった数値だけでなく、地域への参加や就労そのものへの参加自体を評価するといった部分も必要との観点から類型化される事となりました。

ちなみに7.5:1体制における定員20名以下の単位数の違いは以下の通りです。

  • 「平均工賃月額」:1万円未満で「566単位」(平均工賃月額による)
  • 「利用者の就労や生産活動等への参加等」:「556単位」

それぞれの特色を確認した上で選択する必要があります。

各種加算について

基本報酬とともに気になるのが各種準備されている加算。

加算についても色々と変更がありますので十分確認しておく必要があります。

特に新しく出来たのは以下のような加算です。

  • 地域協働加算
  • ピアサポート実施加算
  • 就労移行支援体制加算

また今回の改定に伴い変更があったのは以下の加算。

  • 施設外就労加算→廃止、再編
  • 就労移行支援体制加算→再編、加算単位数見直し
  • 医療連携体制加算→見直し
  • 福祉・介護職員処遇改善加算→加算率の見直し
  • 福祉・介護職員等特定処遇改善加算→加算率見直し

…結構多い感じですね。それぞれ確認しておきましょう。

新設された加算

新設された加算については以下にまとめておきます。

地域協働加算:1日あたり30単位

こちらは新しい基本報酬体系の「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する体系との組み合わせで算定されます。地域住民やその他関係者と協働して支援を行い、活動内容を公表した場合に支援を受けた利用者の数に応じ、1日につき所定単位数を加算するというもので、公表はインターネットを始めとした方法によって行うこととなっています。

ピアサポート実施加算:1月あたり100単位

こちらも新設された基本報酬体系との組み合わせで算定されます。各利用者に対して一定の支援体制を整え、就労や生産活動等への参加等に関わるピアサポートを実施した場合に算定されます。支援を受けた利用者の人数に応じて各月単位で所定単位数を加算します。

就労移行連携加算:1回あたり1000単位

就労継続支援B型での支援後、就労移行支援の支給決定を受けた利用者がいる時に、「支給申請までの移行支援事業所との連絡調整や相談援助、事業所での支援の状況などの情報を文書で相談支援事業所に対して提供した」場合、1回に限り加算を算定できるようになります。

改定により変更となった加算

新設された加算がある中で改定に伴い廃止や変更となった加算もあります。

以下にまとめておきましたので、参考までに。

施設外就労加算:改定に伴い廃止、再編

体制を整備し利用者が施設外での作業に参加することで算定されていたこの加算は今回の改定で廃止となりました。一般就労への移行実績の高い事業所や高い工賃学を実現することが出来た事業所、地域連携の取り組みへの評価に組み替えるとのこと。つまりは基本報酬単位数の向上、就労移行支援体制加算の再編、今回追加となった新たな基本報酬体系を設定するために廃止となったと読み替えることが出来ます。

就労移行支援体制加算:定員20名以下の場合1日につき48単位〜

この加算は以前からありましたね。今回の改定でより細かく階層が設定されるようになりました。事業所の「定員数」と「平均工賃月額」により1日あたりの単位数は設定されるようになりました。詳細は「報酬算定構造」で確認してください。

医療連携体制加算:見直し及び細分化

前回の記事でも今回の改定の基本指針の中に医療的ケアの充実が上がっていたことは書きましたが、こちらの加算の改定はそれを受けてのもの。医療的ケアの必要性の高いケースを想定しての加算設定したようで、現行では2項目であったものが今回は6項目に改定されました。必要性に応じて単位数も設定されており、実施内容によって単位の確認は必要となります。

福祉・介護職員処遇改善加算:加算率の変更

職員の処遇改善としての加算である本加算は今回の改定で加算率が変更されました。加算上位3項目までの加算率がいずれも向上しました。毎年度申請を行う形で取得することとなるため、今回の加算率の変更は申請する際に重要となるため確認が必要ですね。

福祉・介護職員等特定処遇改善加算:加算率の変更

前述した「福祉・介護職員処遇改善加算」は上位3項目の加算率が上昇したのに対して、こちらの加算率はいずれも低下。こちらもまた毎年度申請が必要となるため、申請書作成の際には加算率は要確認です。

基準及びその他について

基本報酬や各種加算も大事ではありますが、今回の改定ではそれ以外にも大事なものが。

色々と出ていますのでそれらも以下にまとめておきますね。

ちなみに就労継続支援B型に関係する部分をメインに書いていきますね。

※詳しくは「改定の概要」を参照。

感染症や災害への対応力の強化:運営基準の見直し等

感染症等の発生時においても必要な対策等を講じて必要なサービスが継続的に提供されるように日頃から取り組むことを目的としています。具体的には、「感染症対策の義務化」、「感染症・災害発生時における業務継続できるような取り組みの義務化」や「緊急時の地域との連携強化を努力義務化」、「新型コロナウィルス感染症対応のための特例的な報酬上乗せ」があります。義務化された部分については経過措置期間中に対応することが必要なので要注意です。

障がい者虐待防止の推進:運営基準等の見直し等

虐待防止の観点から「運営基準の見直し」や「虐待防止委員会の設置等の義務化」、「スタッフ対象の虐待防止研修実施の義務化」、「防止のための責任者設置の義務化」があります。こちらも経過措置として令和3年度は努力義務化で1年間の準備期間とし、令和4年度からは義務化とのことです。

身体拘束等の適正化:運営基準等の見直し等

身体拘束等の適正化の推進のため、「運営基準等の見直し」と「減算要件の追加」があるそうです。体制等の見直しのため令和3年度は努力義務、その後令和4年度からは義務化とのこと。また減算要件については令和5年4月から適用とのこと。

人員基準における要件の見直し等

育児・介護と仕事との両立のための要件緩和がなされました。これら条件のある場合には「常勤換算」及び「常勤」の要件が一部緩和されます。また、ハラスメント対策についても必要な措置を求めるとのこと。

各種処遇改善加算について

先に加算率の改定については書きましたが、それ以外にも要件の緩和や算定にあたっての取り組みなどについて改定がありました。詳細はこの項の最初にあるリンクから「改定の概要」を確認してくださいね。

ICTの活用

業務効率化の観点から運営基準上や報酬算定上必要な委員会や会議などはICTの活用が可能な支援であることを明確化。

地域区分の見直し

介護報酬の地域区分の考え方に合わせることとし、公平性を確保すべきと考えられる場合においては特例を適用できるものとする。自治への聴取を実施しつつ令和5年度末までの必要な経過措置を講じるとのこと。

食事提供加算の経過措置の取り扱い

経過措置が今年度で着れるものの、栄養面・食育的観点からの評価等も含めこれまでの他制度とのバランスや在宅生活する障がい者との公平性の観点も踏まえての検討を続けるとのこと。つまりは経過措置延長。

送迎加算

就労継続支援A型・放課後等デイサービスの送迎加算について送迎の実態調査を踏まえ、自立能力の獲得を妨げないよう配慮し周知を行うことで枠組みを維持するとのこと。

このように色々と改定の内容は有るので本記事からもリンクを貼っておいたので確認しておきましょう。

今後の動きについて

これまでの改定に比べて今回の改定は大幅な改定が見られました。

基本報酬体系に加えて各種加算や運営基準等の見直しも必要になっています。

改定にあたって詳細を確認するためにも今後出てくるであろう「Q&A」等の情報も大事になってきます。

先日の大枠把握記事から今回の報酬改定の資料等を参考にある程度を把握しておき、「Q&A」が発表になったら基本報酬体系や各種加算に関する申請を忘れずに行いたいものですね。

それでは、また。