こんにちは、リュウです。
普段、僕は就労継続支援B型の運営や現場での支援を行っていますが、ここでひとつ必要になるのが利用者個々の課題設定をした「個別支援計画」の作成。普段どのように作成していますか?
利用者1人ひとりによって課題はちがうためそれぞれの文言で書かれてはいると思うのですが、案外個別支援計画を作るのって大変じゃないですか?
今回はそんな個別支援計画の作成について、実際にどのように作っていたほうが良いかを書いていきます。
目標設定は楽しくシンプルに
個別支援計画で重要なのは目標設定でありますが、これは「楽しい」「シンプル」を重視して設定していくことをオススメします。
目標設定なのに?と思う人もいるでしょうが、これって大事なことなんですよね。
スタッフと利用者は立ち位置が違う
そもそも、個別支援計画とは何か。
名前からもわかるように個々に合わせた支援のための計画ですね。
これを考えた時に利用者とスタッフは違う視点から計画を捉えがちです。というのも、スタッフは「仕事」や「支援」からの視点で捉えますが、利用者は「訓練」や「目標」として課題を捉えます。
こういった計画や課題の捉え方の違いによって計画の達成度も変わってくるわけです。
スタッフにとっては「支援」でありそれは「仕事」である
スタッフが個別支援計画を作成するのはなぜでしょう?これは人によって返ってくる答えは違います。
「支援のために必要だ」という人もいれば「事業所として作成しなければいけないから」という人もいます。
スタッフにとっての事業所での仕事は、支援することです。支援スタッフであればそれは当然のことですよね。
ただ、スタッフによって仕事として支援を行う理由は違います。生きがいややりがいを重視して支援している人もいれば、お金を稼ぐために支援を仕事としている人もいるからです。
要は働く意味合いが違うわけです。
働く理由や環境によって仕事のスタンスは変わる
これまでいくつかの医療・福祉施設で働いたことがありますが、どこにいっても働いている理由がスタッフ皆同じなんてことは一度も有りませんでした。働く理由はみんな違うものです。
これって悪いことかというと社会の構造としては仕方のないことのように思います。だって、みんながみんな好きな仕事につけるわけでは無いですからね。
また、働く環境というのもそれぞれで違っていました。会社から社員への要求が強いところもあれば、最低限のルール設定のみの会社など環境も色々と違いますよね。
そういった「働く理由の違い」や「環境の違い」は当然のようにあるもので、それによって仕事のスタンスも変わってくるわけです。
個別支援計画を作成する時に現れる仕事のスタンス
さて、こういった仕事のスタンスは個別支援計画の作成の時にどのように影響するかと言えば…。
働く理由が違う場合、「支援したい」と思っている人は「本人より」の課題設定になります。「こんな事をこんなカンジで…」なんて細かく設定するものです。そしてわかりやすい言葉で課題を書き、できるだけ難しくならないようにします。
一方、仕事として仕方なくやっている場合でも、それ相応に個別支援計画は作ってきます。しかしながら、文章としては長いし、みんな同じような文言。特段様変わりしない内容で、酷いときには部分的にコピペなんてのも。
当然同じような課題を持っていることもあるため、似たような内容になることは無くはない。
しかしながら作られた計画を見れば何を目的にしているかはある程度わかるわけです。仕事として計画を作成した場合は色々と書かれていますが、わかりにくく外部の監査する行政職員などに向けた文言となっている場合もあるんですよね。
文字数が多い=仕事をしているの勘違い
仕方がなく仕事として支援をしているのに、文字数は多い。仕方がなくしているのであれば文字数は少なくてもいいようなもの。
こんなこともあるわけですが…。
これは文字数が多ければとりあえずなんとかなるという自分の安心を得るための行動でもあります。文字数多いと真面目にやった感は出ますからね。
ただ、実際にその計画を利用者と実行した時に果たして効果的であるかと言えばなんの効果も得られないような状況にもなってしまうわけです。
利用者は自由意志である
スタッフの仕事のスタンスについての話の一方で、利用者にとっては個別支援計画はどのようなものか。
利用者にとって事業所の利用は自由意志です。契約して利用したければすればいいし、そうでない場合は他の事業所やサービスを利用すれば良いことになっています。
それではこういった状況に置かれた人はどうなるか。つまらなければやらないし、頑張る意味合いを見失ってしまうこともあります。
目標設定に「楽しい」という要素は必要
「つまらないって通用するの?」
そうした話をする人もいます。が、通用するような場合も少なくないかなと。
だって生活保護や年金受給すればとりあえず生活できるくらいにはなりますし。そもそもスタッフが仕方がなく仕事をしているようであれば、それは利用者にだって同じような状況が有り得る話ですよね?同じ人間なので。
ということは、「取り組んでいて楽しいと思える」か「達成したときの楽しみ」がないとスタッフも利用者もどちらも人間なので取り組みたくないわけです。
生活保護を受けている人にとっては収入認定という基準もあるため、一概に「お金を稼げる」ということがモチベーションになりえないことだってあります。要はそれ以外の何かモチベーションに繋がることは必要となってくるんですよね。
複雑なものは誰しも嫌う
もう一つの「シンプル」という要素についても同じような理由です。複雑ってとにかく面倒。
面倒なことって人は続かないものです。複雑なものって理解するまでに疲れてしまいますし、理解しても実行する手順がこれまた複雑。
こんな状態だと障がいの有無に関係なく、「やろう‼」となんて思えないですよね。
シンプルばかりが良いとは言えませんが、わかりやすいというのは必要。文章を色々と書くと「仕事した‼」といった感覚になりますが、計画を受け取る側からすると文章が多いと読む気にもなりません。
計画や課題を立てたとしても、相手が読まないと意味がないですよね。
そもそも覚えていられない
もう1つの理由、それは「覚えていられないから」です。
利用者だって生活していれば色々な事を考えますし、複数のサービスを使えばその都度個別支援計画のような書面は作成されているわけでして。それをいちいち覚えていられるかと言ったら、「覚えられないよね?」ということ。
事業所の僕らだって複雑に作られた計画だと、利用者1人ひとりの計画なんて常日頃覚えていることは難しくなります。利用者も同じ。
僕らからすると「うちの利用者」という見方になりますが、彼らはあくまでもサービスを利用する1人の人。他のサービス利用をしていればいくつかの計画から課題を提示されている状況にあります。
であれば、少しでもわかりやすく覚えていられやすい計画にして「ここに通っている時はこれを目標にする」といったふうに明確にわかるようにしておくほうが良いですよね。
結局のところ双方が「楽しい」「シンプル」な内容が1番いい
色々と書いては来たものの、結局のところ「楽しい」「シンプル」な計画が双方にとって良いんですよね。
スタッフだってマイナスなことをするよりであればプラスの楽しさがある支援をしたほうが良いですし、利用者だって義務感よりも楽しい計画・課題の方が取り組みやすいし集中しやすい。
無駄に長い文章を書くよりも簡単に書くほうがスタッフも作業量は減るし、利用者も取り掛かりやすいし覚えていられる。
それであれば、結局のところ「楽しい」「シンプル」といった事を考えていくほうが良いですよね。
人によって「楽しい」と感じることは違うでしょうし、「シンプル」であってもわかるとは限りません。
実際の個別支援計画に落とし込むというのは難しいことかもしれませんが、利用者とスタッフが楽しい課題に向かってわかりやすく取り組むことができるといいですね。
それでは、また。