【今さら聞けない】現役管理者が障害福祉サービス事業運営の仕組みについて解説(大枠理解)

・ぼくらの事業所ってどんな風に回っているのかな?
・支援で忙しいから事業っていわれてもイメージできない
・自分も障害福祉サービスを提供したいけど、どうしたらいい?

障害福祉サービスはどれも同じような仕組みで運営されています。

ですが、その仕組を知り働いているスタッフは多くありません。

「自分たちがなぜそのような働きをするのか」

それを知っていることはとても大事なことです。

ということで、今回は

障害福祉サービス事業の仕組み

についてかんたんに解説していきます。

事前に読んでおきたい記事はコレ‼

障害福祉サービスのさらに大枠のイメージは「障害福祉サービスの枠組みと全サービス共通の部分について初心者のために解説します‼」で確認できるので、事前に確認しておくといいです。

障害福祉サービス事業のしくみを流れで把握しよう

障害福祉サービスを事業としてみれば、以下の過程があります。

  1. 行政からの指定認可を受ける
  2. サービスを提供
  3. 障害福祉サービス費等の報酬を受領
  4. 収益で事業を運営

こんなカンジで事業は運営されています。

行政から指定を受ける

障害福祉サービスを事業として行うためには、

行政から認可を受ける

ということが必要になります。

認可に関する内容をすこしばかり確認しておきましょう。

障害福祉サービスの根拠は障害者総合支援法

僕らが提供しているサービスは国の定めたものです。

国が定めて提供していくには、根拠となる法律があります。

障害福祉サービスの提供にあたっては、主な根拠として「障害者総合支援法」があります。

参考となる記事:「【かんたん解説】障害者総合支援法のはじまりまでの経緯

公的なサービスだから基準が決まっている

法律で定められていますが、それだけでは提供できません。

細かなルールとして、基準が定められます。

そうした基準などは下の画像にみられるように、ネットでも見ることができます。

上の画像からわかるように、

・人員配置
・設備
・運営

といったように、提供するための基準は定められています。

※ちなみに厚生労働省が出している基準省令へのリンクは以下に貼り付けておきますね。

リンク:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準

厚生労働省より

基準にあっているか確認をしてもらう必要がある

認可のためには、基準にあっている必要があります。

サービス提供体制の整備が済んだら確認してもらう必要があります。

確認にあたっては必要な書類を提出して、

・施設の構造
・職員配置状況
・サービスの内容

といったことを確認してもらうことになります。

基準にあっていれば指定認可をもらえる

申請を上げて基準を満たしていれば認可を受けられます。

「指定認可を受けた事業所」ということです。

指定認可を受けていないと、

障害福祉サービス等の報酬の受領はできません

ので事業をしていく上で大事なところです。

サービスの提供

指定認可を受けたら、サービス提供開始です。

サービスを提供していくことが事業所の役割ですよね。

ここからはサービス提供に関して書いていきます。

基準に沿ってサービスを提供

サービス提供の際には、基準を守って提供していくことになります。

指定認可を受けたからといってそれで終わりではありません。

日々、基準を遵守してサービスを提供していき、認可についても更新をし続ける必要があります。

認可の期限は6年ごとなので覚えておきましょう。

各事業種別ごとに決まったサービスを提供する

認可を受けて基準に沿ったサービスを提供する。

それではどのようなサービスを提供するか。

これについては上の図にあるように各種別ごとのサービスを提供します。

就労継続支援B型なら就労訓練を提供するなどですね。

サービス内容を記録する

たとえ認可を受けて種別ごとのサービスを提供したとしても、それだけでは認められません。

サービスを提供したという記録が必要になります。

記録は支援過程などを知るためにはとても大切なものです。

そして同時にサービスを提供したという証拠にもなります。

事業所でいつもつけている記録はそういった意味合いがあるから必要なんです。

障害福祉サービス費等報酬を受給

認可を受けてサービスを提供

サービス提供して記録をつける

ここまでしたら、次は報酬を請求する必要があります。

請求しないと報酬は入ってこないので毎月する必要があります。

月1回、国保連を通じて報酬請求

報酬をもらうには、

・毎月1回請求をする
・請求先は国保連へ
・エラーが出た際にはちゃんと対応する

ということが必要になります。

ここで大事なのは、

・報酬自体は自治体から支払われる
・請求先は国保連という団体に行う

という仕組みになっているということ。

この仕組について詳しく知りたい方は、「【報酬制度・国保連】なぜ国保連を通して報酬は支払われるの?」を参考にしてもらいたいと思います。

国保連から行政に確認・請求

ちなみに国保連に出された請求内容は確認されています。

利用者1人ひとりのサービス受給決定内容と照らし合わせます。

国保連から行政へと確認がされるわけです。

ただ、僕らは人間なのでミスもあります。

ミスのあった場合は修正が必要で、

正しい請求を出せば国保連を通して行政に請求されます。

請求に応じて行政は国保連に支払い出し

国保連から行政への請求を経て、

行政は障害福祉サービス等の報酬を支払います。

このときも直接事業所には支払われず、国保連を経由します。

経由しての支払いのため報酬受取りまでにはタイムラグが生じます。

事業所への支払いは「翌々月頃」になります。

事業所は障害福祉サービス費として処理

報酬を受け取ったら「決められた枠組みでお金の処理」がされます。

法人会計という基準で処理されます。

サービス提供した報酬が事業所の収益として処理されます。

処理された事業収益から、みんなの給料や事業所の家賃などが支払われます。

受給した収益で事業を運営

得た収益を使って事業を継続・拡大していくことになります。

どのようにお金を使うか

この使いみちによって今後の法人・事業所の将来は変わります。

僕たちは家計のやりくりをしますが事業の財源も同じです。

どうやりくりするかは事業をする上でも大事になってきます。

障害福祉サービス費を使って事業所を継続する

収益の使い方の1つは、現在のサービス提供を継続することです。

現在提供しているサービスの継続は、

そこに通う利用者にとってとても大事なことです。

障害福祉サービスの多くは生活に直結するものも多くあります。

事業の継続性は利用者の生活の成立にも関わるため大事なことです。

事業の拡大

もう1つの使い方は、事業の拡大です。

事業の拡大方法としては、

・現在のサービス種別でさらに事業所を増やす
・今のサービス種別とは別のサービスを提供する
・障害福祉サービス以外の事業を行う

といったような大きく分けて3つの選択があります。

どのような選択をするかは法人次第です。

定期的に実地指導を受ける必要があります

・認可からサービス提供
・提供した報酬を請求して受け取る
・収益によって事業継続、拡大

こういった過程の中で大事なのが法律・基準の遵守です。

行政もそうした遵守についてはきちんと確認するようになっています。

「実地指導」

行政からの確認はこのように呼ばれます。

実地指導は各事業所ごとに「数年に1度」対象となるとされています。

▼実地指導が行われる場合

実地指導の内容を少し書いておくと…

行政職員が事業所に訪問してきて、運営状況が確認されます。

実地指導で基準に沿っていない場合、

・まずは「指導」が入り改善を求められる
・改善がされないとみなされた場合は「処分」を受ける

といった流れになります。

重い処分としては、「事業停止・廃止」があります。

これは事業としては致命的ですので、普段から遵守を意識することが大事です。

障害福祉サービスの構造を大枠を理解しよう

ここまでが障害福祉サービス事業の仕組み解説でした。

事業の仕組みを知るということは、

・自分で事業をしていくために必要だけでなく、
・事業においてその業務がなぜ必要なのかがわかる

といったことにつながります。

今回の記事のようにまずは流れで大枠を理解してそれから詳細を学ぶのがオススメです。

 

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